「思考の整理学」が教える、作文における音読の重要性

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こんにちは、Shunです。

みなさんは「思考の整理学」という本をご存知でしょうか?

外山滋比古による名著ですね。

外山 滋比古(とやま しげひこ、1923年11月3日 – )は、お茶の水女子大学名誉教授、日本の英文学者、言語学者、評論家、エッセイスト。文学博士である。全日本家庭教育研究会元総裁。外山家は法海山龍護院妙光寺の旧檀家である。

Wikipediaより

今回は、そんな「思考の整理学」の中から、音読について述べているところをピックアップします。

外山滋比古の思想に、ちょっと触れてみましょう。

1. 英語や日本語の作文をする時に

私がご紹介したい箇所は、実は音読がメインの内容ではないんです。

もともとは、作文をする方法について述べているところ。

1.1 作文のチェックは難しい

英作文や日本語での作文をすることは少なくないでしょう。

入試問題だったら作文の出来が直接点数に結びつくわけですから、作文のチェックをする技術はいうまでもなく重要。

それ以外にも、学校で発表をしたり意見文を書いたりと、作文の機会というのは山ほどあります。

そういう時、自分で書いた文に問題がないか誰しも気になるものです。

数学の計算問題などとは異なり、自分が答えを出せればそれでOK、ではありません。

自分のアイデアが読み手/聞き手にしっかり伝わるかどうかが重要です。

でも、そのチェックは簡単な話ではありません。

自分の文章を読んでも、それが「良い作文」なのか、簡単には判断できませんよね。

1.2 外山の考え

作文のチェックに関して、外山は次のように述べています。

書き上げた原稿を読みなおして、手を入れる。原稿は黙って書くが、読みかえしは、音読する。少なくとも、声を出すつもりで読むーーこれを建前にしている人が意外に多い。そして、もし、読みつかえるところがあれば、かならず問題がひそんでいる。再考してみなくてはならない。沈黙の読み返しでは、たいていこういうところを見のがしてしまう。

「思考の整理学」より

原稿を読みかえす時は、音読をする。

これが外山の主張です。

なぜ音読をすると良いか。

以下、これについて詳しく考えていきましょう。

2. 黙読と音読

外山のメッセージを理解するためには、黙読と音読の性質を理解する必要があります。

まずはそこから攻めていきましょう。

2.1 黙読

黙読は、文字通り「黙って読む」、つまり声に出さないで読むことです。

  • 本を「読む」
  • 次の文章を「読ん」で、後の問いに答えなさい
  • 会議資料を「読む」

のように、日常生活で「読む」というと大抵は黙読を指します。

その意味で、音読よりも身近な行為と言えるでしょう。

黙読をするというのは、文字を目で認識し、その内容を理解する行為です。

私たち人間が持つ「五感」のうち、ここでは視覚のみが使用されている、というのは非常に重要な特徴。

2.2 音読

音読は、文字通り「音」にして読むこと。

文章を読み、それを自分で喋りながら読み進めます。

日常生活で音読をすることはほとんど無いはず。

本を読む時は基本的に黙読ですものね。

大学の授業でも、(語学を除いて)音読をする機会は滅多にありません。

人間の五感のうち、音読で使用されるのはどこでしょうか。

まず「視覚」はもちろん使われます。文章を読んでいるのですから当然ですね。

しかし、それだけでしょうか。

そう、実は「」も使っているんです。

声に出して読む過程で、

  • 自分の発音が正しいかどうか
  • スムーズに読めているかどうか
  • 速さ・音量はこれくらいでよいか

など、無意識のうちに気にしながら読んでいます。

「耳」を使っているのが黙読との大きな違い。

黙読と音読について、軽くまとめました。

主たる違いは、やはり「耳」を使っているかどうか。

当然のことのように思えますが、後で重要になってきます。

3. 作文のチェックで音読をする意味とは?

さて、いよいよ戸山の意見を掘り下げていきます。

黙読と音読の2種類に絞って比較していきます。

3.1 大変なのは「音読」

ここで1つ、みなさんに質問。

黙読と音読、大変なのはどちらでしょうか?

Thinking Time …

答えはもちろん「音読」です。

黙読はただ目で追って読んでいるのみなので、体力をあまり使いません。

一方音読は、ただ内容を理解するだけでなく、それを声に出さなければなりません。

インプットだけでなくアウトプットも必要なんですね。

そのぶん、音読の方が苦労は多いのは確かです。

みなさんも、音読のほうが「面倒くさい」というイメージを持っているのではないでしょうか。

私も正直、そのように考えています。

3.2 大変な分、効果も大きい

もし音読に大したメリットが無いのであれば、私たちはもはや音読をする必要はありません。

小学校や中学校などで、国語の文章や詩を音読させられたことがあるでしょう。

それもほとんど無意味だったことになります。

しかし、本当にそうでしょうか。

私の答えはNO。

音読は、苦労が多いぶんだけ効果も大きい、というのが私の考えです。

メリット1: 集中しやすい

第一のメリットは、音読の方が集中しやすいということ。

黙読をしているとき、だんだん集中力が薄れてボーッとしてしまう

そのような経験はありませんか?

きっとあると思います。私ももちろんあります。

黙って文章を目で追っているだけだと、最初は集中できてもそれをキープするのが困難になります。

その最たる理由は、黙読が「受動的な勉強」だからです。

端的にいうと、文章を視野に入れその内容を理解するだけなので、どうしても積極性に欠けてしまう、ということ。

インプットだけしか行わないので、集中力が次第に途切れてしまいます。

その反面、音読は読んだ内容を自分で声に出す必要があります。

これはあなたの想像以上に大きな違いです。

ボーッと文章を眺めることはできても、ボーッと音読することはできませんよね?

逆に言えば、音読をしている限りある程度の集中力は保証されているわけです。

集中力をキープしたまま読み進めることができ、その点では黙読よりも優秀。

この点については次の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください!

読み手の立場に立てる

もう一つ、作文のチェックに際して大きなメリットがあります。

それは読み手の立場に立てる、ということ。

音読することの何よりの利点は、他者がこれを読んだらどう思うかをある程度知ることができることです。

黙読しているだけだと、文章の理解が自分の頭の中だけで完結してしまいます。

しかし音読することで一旦文章を音声にし、それを耳から聞くことで、文章の内容が頭の中ではなく外部からの入力へと変身するのです。

これにより、自分の文章の読みにくさが圧倒的に把握しやすくなります。

自分で書いた文章を自分で理解できるというのは、当然のことなんです。

自分でゼロから考えて1文字1文字組み立ててきたわけですから。

でも、読み手があなたの作文を読んでくれるのは普通1回。

仮に試験の採点官であっても、2,3回が時間的な上限でしょう。

したがって、一度読めば内容がすぐに分かるような構成にする必要があります。

より端的には、「単純明快」な内容にする、ということ。

でも、これって黙読だとチェックしにくいんですよね。

やっぱり自分で考えた内容ですから、「これくらい理解できて当然だ」と思いがち。

誤字・脱字や文法的な誤りは発見できても、話の明快さ、つまり大局的な良し悪しは判別しにくいのです。

先述の通り、音読をすることで一旦外部からの入力に変換できるので、読み手の立場にある程度近くことができます。

これにより、黙読では気づかなかった問題点を発見できることも。

自分の創作物は、客観的に眺めるのが大切ですね!

4. 音読の活用法

作文において、音読をするのは重要だとわかりました。

では、具体的な実践方法を見ていきましょう。

4.1 戸山のメッセージ

「思考の整理学」の一節を再掲します。

書き上げた原稿を読みなおして、手を入れる。原稿は黙って書くが、読みかえしは、音読する。少なくとも、声を出すつもりで読むーーこれを建前にしている人が意外に多い。そして、もし、読みつかえるところがあれば、かならず問題がひそんでいる。再考してみなくてはならない。沈黙の読み返しでは、たいていこういうところを見のがしてしまう。

「思考の整理学」より

改めてこれの意味を考えてみましょう。

音読をすることで、実際の話のリズムや言葉遣いのスムーズさを確かめられます。

「読みつかえるところ」というのは、そのリズム・スムーズさが乱れている時なのでしょう。

たとえば

  • 文が長くてくどい
  • 同じ内容を複数回述べている
  • 具体例と意見が混同している

など、明快さが失われている状況で「読みつかえ」てしまうのです。

自然な流れの文章であれば、多少難しい言葉を用いていたり長かったりしても、ほとんどつかえることなく音読できます。

逆につかえる点がある場合は、何かしら問題が潜んでいるわけですね。

大まかには、「つかえる=言語的に不自然な箇所がある」という認識です。

日本語での作文や英作文を書き終えたら、それを音読してみます。

うまく読めない文があったら、そこに印をつけておきましょう。

そして、音読し終わったあとに該当箇所を修正するのがベスト。

4.2 同じ表現を避ける

黙読で文章を書くと、似たような表現を繰り返し用いてしまうことってありますよね。

私の場合、「という」という言葉の使用頻度が高いんです。今も使っちゃいました(笑)

口癖ならぬ「書き癖」。

多少の癖はその人の個性として許容されるべきですが、あまりに偏りが激しいと文章の質が低下してしまいます。

たとえば

  • 〜です。
  • 〜なんです。
  • つまり、〜ということです。

のように「です」ばかり使用していると、くどい感じがします。

文末表現だけではありません。

  • これは、多分〜なのでしょう。
  • 〜な気がします。
  • 〜だと思うんですよね。

のように「不確かさ」を帯びた表現を大量に使用するのも、なんだか読んでいて不安な文章になります。

「書き癖」は人により様々。

執筆している時はなかなか気づかないんですよね。

しかし、音読をすることでそれに気づくことができます。

他人の話を聞いていて、その人の口癖が気になっちゃって話に集中できなかった、なんていう経験はありませんか?

私の知人には「まぁ」を多用する人がいて、それに気を取られ話を聞けないことがあります。

それと一緒で、音読をしてみると自分の「書き癖」が分かるんです!

似たような表現の多用を避けたほうが、読み手は文章そのものに関心を持ってくれるようになります。

また、音読で気づくことができれば、それ以降の執筆で気をつけることも可能。

結果として、自分の作文の質を大きく向上できます。

こんな風に、作文の際に音読を活用することで次のようなことが可能になります。

  • つっかえてしまうポイントを探すことで、自然な流れの文章にする
  • 似た表現の過剰使用を避け、バランスの良い文章にする

単純明快な文章の方が、読者は心置き無く読むことができます。

結果として、内容の評価が上昇するのです。

4.3 補足:試験でも活用できる!

実は、試験の場でも音読を活用することができます。

えっ、試験中は喋っちゃダメでしょ?

それはその通りです。

でも、外山の言葉(引用)の中に、「少なくとも、声を出すつもりで読む」とありますね。

これを実行すればいいんです。

声に出さずとも、口を動かして喋った「つもり」になることは可能です。

音読ほどではありませんが、これだけでも十分な効果が見込めます。

わかりやすい文章になっているかどうか、短時間でチェックできるのでオススメ。

学校の定期試験や入試では、試験時間が限られています。

焦って文章を書いていると、複雑な文を書いてしまったり支離滅裂だったりと、色々な事故が起こるもの。

口を動かして「音読」してみることで、読み手が理解できるか否か確かめてみましょう。

思いもよらない欠陥が見つかることもあります。

私も、何度かこれに救われているんです。

5. まとめ

作文のチェックにおける音読の重要性を、外山滋比古の「思考の整理学」も交えつつご紹介しました。

作文は、その内容自体で評価されるべきだと私は考えます。

しかし、読みにくい文章を作ってしまうと、せっかく良い内容を述べていても正しく評価してもらえません。

それはあまりに勿体無いことですよね。

音読をすることで、自分の文章が読みやすいかどうかチェックすることができます。

声に出してそれを自分の耳で聞くことで、様々な問題点が浮き彫りに。

音読を活用して、誰でもスムーズに読める、素敵な作文を書きましょう!

以上、Shunがお伝えしました。

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